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天 球 儀

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蒼天の系譜 【第三幕】 ...06

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【第三幕】 砂塵に舞うは


06







 地面に熱を閉じ込めることのできない環境にある砂漠地帯の夜は冷える。真夏はともかく、真冬ともなると氷点下まで下がることも少なくない。幸い今はまだ真冬と呼べるほどの季節ではないが、それでも昼間は強い日差しから肌を守るための外套が防寒具になる程度には冷える。しかし野営に使うオアシス地帯はまだ湿度が多少あるせいか、砂地よりかはいくばくかマシではあった。
 ティアラは冷えないように外套の前をしっかり合わせ水辺に腰かけると、そのまま自分の頭上を見上げる様にして首を反らせた。人工的な光と呼べるものは、少し離れた場所に置かれた野営地から漏れてくる炎とランプの光くらいで、それ以外は深い闇に包まれている。今夜は新月なので月の明かりもなく、空を埋め尽くしている星の瞬きを邪魔するものもない。空を縦断するように幾つもの星が折り重なってできた天の川も、今夜ははっきりと確認できた。
 かつてこの世界は創造神ガイアが作ったのだと言われている。大地と海を作り、人を生み出し知恵と知識を与えた。そして精霊神ルビスは、ガイアの手助けをした神であったと伝えられていた。
 そんなのは伝承でしかないと思っていた。幼い頃から本で見るたびに、匿われたガイア神殿の司祭様に諭されるたびに、伝承は人が作ったものでしかないと思っていた。信仰心を煽るために、人々を先導するために。その為に都合のいいように作られた程度の物でしかないと。
 なのに。自分の身体に宿る力は、そんなおとぎ話でしかないと思っていたはずの伝承にリアリティを与えた。神は存在するのだと。
 ではなぜ、そんな力が自分の身体に宿っていたのか。少女が城から出ることを許されなかったことは、おそらく無関係ではないはずだ。そしてそれは、母も同じだったらしい。らしいと言うのは、ティアラも人から聞いただけの話なので確証はない。
 ただ母も同じように城から出ることを許されず、外の世界を知らないまま父を婿として迎えて自分を産んだのだ。この力は遺伝する。すなわちそれが、賢者の家系と呼ばれるゆえんになる。


「あぁ、もう……!」


 外套の隙間から手を出して、苛立ったように前髪をかき上げる。分からないことだらけで、本当に腹が立つ。
 神の力というのは大げさかもしれないが、でもそれに近いものが自分の中に宿っているのだというのであれば、どこかでそういう血が混じってきたことは間違いない。
 でもどこで? それこそ、神話の時代から脈々と受け継がれているとでもいうのか。おとぎ話が現実にあったと? まさかルビスが自分の血を残したとでもいうのか。世界の危機を、来るか来ないかもわからないそんな不確定な危険を予測して?
 そう。精霊神ルビスはこの世界で信仰されていない。なぜなら彼女はガイアを裏切ったとされているからだ。
 この世界において、ほとんどの人間が創造神であるガイアを信仰している。だからルビスを信仰するということは、極端に言えば邪教。よくても異端扱いされる。だからルビスを信仰する人々だけで住む島が、世界のどこかに存在すると聞いたことはある。
 となれば、ネクロゴンド王家はなぜ王家として残ったのか。仮にルビスの血筋であると知られていれば、国として認められるはずもない。ならば。
 隠されて、王家として残された? 残される意味が、残さなければならない理由があって。そう考えるのが自然か。

    そもそも神様って、子孫とか残すわけ?

 それが一番の疑問ではある。神の姿が確認されない今、それこそおとぎ話として笑われそうな内容だ。それでもエルフの女王が見定めたのであれば、間違いはないのだろうが。
 分からないことばかりでイライラすることにも違いはないが。野営地にいたくなかった理由は、そんなことではなく。いや、一人で静かに考える時間が欲しかったというのもある。自分自身にそんな言い訳をして。
 実際のところは、リベルティーナとユウを見ていたくないというのが本音だ。あの二人を、というよりリベルティーナを見ているとイライラする。
 彼女はことあるごとにティアラを挑発してくる。大したアピールではないので、もしかしたらティアラ以外は誰も気が付いていないかもしれない。ユウにへばりついて目くばせ、意味ありげな微笑、その態度。上手く説明できないが、空気が目に見えるのならピリピリとした電流みたいなものか、あるいは静かに燃えあがる炎が見えるかもしれない。そしてそれは明らかにティアラに向いている。
 なのに彼女はティアラにも懐っこくして来る。一座に同年代の人間がいないせいも手伝ってか、ティアラにもやたらとベタベタしてきて親し気に話しかけてくる。話をすれば悪い人間だとは思えないが、ユウが絡むと別人のようだ。
 マダム・イデュンは、彼女は男女関係なく自分の気に入った人間にはそうなのだと言うことらしい。現にサリや他のメンバーには見向きもしないのだ。あくまで、ユウとティアラにだけ。
 単に自分たちを暇つぶしかなんかに弄んでるだけではないかと思いもしたが、ユウの事を別にすれば、彼女は本当にティアラと楽しくおしゃべりがしたいだけという印象を受けるので、寄って来たのを変に無下にもできず余計扱いづらい。そして全く読めない。
 ユウはなるべくリベルティーナを引き離そうとしていることが分かるし、ティアラを気にかけてくれているのも分かる。でもだからと言って自分からあの二人の間に割って入れるかと言えば、それもできなかった。そもそもそんな図々しいことができれば、一人でこんなうじうじ悩んだりはしない。


「単独行動はいただけないなぁ」


 突然背後からかけられた声に驚いて飛び上がり、反射的に振り返った。そこにいたのはカンダタで、振り返った少女の顔を見た彼は、一瞬きょとんとした後すぐに薄く笑みを浮かべた。


「そんなあからさまにがっかりした顔されると、傷つくなぁ」

「別にがっかりなんて……そもそも、そんなことで傷つくような性格?」

「辛辣だなー。俺こう見えてもナイーブなんだよ?」

「それ絶対、ナイーブに謝った方がいい」


 微妙に笑ったティアラにカンダタは小さく肩をすくめるだけにとどめ、そのままティアラに並ぶように腰を下ろした。


「ま、でも一人ってのはちょっとな」

「……うん、ごめんなさい」


 でも、と続けようとして唇を噤む。一人で考えたいことがあった、というのも嘘ではない。だからと言って馬鹿正直にあの場にいたくなかった理由を言う気にもなれず、ただ謝るだけに留めた。が、カンダタはティアラの顔を見てどこかおかしそうに笑い。


「リベルティーナのことなら、気にするだけ無駄だぞ」


 あっさり指摘されて少女が思わずぽかんとする。それがカンダタの指摘を肯定する仕草になってしまっていることにすぐ気が付きはしたが、カンダタのしたり顔を見て取り繕うのは無駄な行為だとあきらめた。


「悪い子じゃないとは、思うんだけど……」

「少なくとも、良い子は出来上がってる男女の仲をひっかきまわすような事はしねぇな」


 肩を落としながら両膝を抱えた少女に、くつくつと笑いながらカンダタがティアラの言葉を否定して見せる。
 思わずハスを尖らせて横目でカンダタを睨みはしたが、彼はそんな視線をものともせずだから無駄なんだよ、とひらひらと手を振った。


「あぁいうのは、まともに相手してやると余計につけあがる。おまえもユウも箱入りの世間知らずで、人を疑うって事を知らない分、余計に乗せられておちょくられてるだけだ」

「なんの意図があって……」


 リベルティーナとはアッサラームで出会ったばかりで、しかもティアラは彼女を助けた人間だ。恩着せがましいことを言うつもりもないが、彼女にそんな嫌がらせのような事をされる心当たりがない。
 恨まれたり嫌われたりするようなことを、知らない間にやってしまっていたのではないかと考えてみはしたが、それも思いつかない。あるいはティアラがしていたことが、リベルティーナには不快に感じられたということもあり得なくはない。それでもやはり理不尽ではないだろうか。
 正面からはっきり言ってくれた方がすっきりするのに、わざわざネチネチと嫌味のように嫌がらせされるのは腹も立つが、いちいち腹を立てると今度は辟易してきてしまう。そうなると、だんだん色々な事がどうでもよくなってくる。そうなってくると今度はもしかして彼女の狙いはそこだろうかと勘ぐって、疑心暗鬼になっていく。信じたいのに、ユウの事も信じられなくなっていくことが怖い。
 あからさまに不快そうに眉間に皺を寄せたティアラの呟きには、さぁなとカンダタも困ったように肩をすくめて苦笑した。


「オルテガがらみって可能性は、まぁ高い。オルテガと接点があったようだし、比較的懇意にしてたってことを匂わせてるからな。あるいは、リベルティーナの母親がオルテガに捨てられた意趣返しとか……」

「それはあり得ないって切り捨てたの、カンダタでしょう?」

「あり得ないとは思ってるけど、万が一って事もあるしな。こればっかりはリベルティーナに本意を聞かないことには、なんとも」

「何もわからないって事ね」


 呆れた様に嘆息するティアラ。そういうこと、とカンダタも若干うんざりしたように肩を落として頭上の星を見上げた。
 結局は彼女自身に直接問いかける以外に術はないと言うことか。けれどどんなに核心をつこうと話を持って行っても、気が付けば他の話に流されて行ってしまう。あるいはあからさまに誤魔化して話を切り上げてしまったり。
 しつこく問い詰めようと思えばできないことはないが、一度それをしようとしたら泣き出してしまって話にならなかった。彼女が泣けば当然、一座の人間がかばいに来る。あるいは彼女が感情的になってしまうので、それ以上の会話は望めない。泣くことに逃げるのは一番ズルい行為で、そのズルい行為を彼女は平気でやる。自分を守る術を彼女はよく心得ている。だから面倒なのだ。


「でも考えようによっちゃ、いんじゃないか?」

「なにが」


 頭上の星を見上げたまま漏らしたカンダタの言葉に、ティアラが鋭い視線を向ける。少女の表情を確認するようにカンダタは横目で一瞥をくれ、そう怖い顔するなと苦笑いする。


「地位的にリベルティーナとユウは、比較的釣り合ってるって話」

「……何が言いたいの」

「分かってて聞くのは、引導を渡してもらいたいって事か?」

「考えたくないって事」


 むくれてそっぽを向いた少女に、カンダタは笑うのを止めて視線を頭上から少女に戻してきた。その表情が思ったよりも真剣だったので、ティアラも僅かに眉間に皺を寄せながら自分を見据えるカンダタに視線を合わせた。


「……分かってる、よ。私はイシスのイシュタル陛下のようにはなれない。だから……」


 この旅がどんなに長いものになるかは分からないが、残された時間が少ないことも分かっている。長くなれば世界の破滅が加速するだけだし、遅かれ早かれ数年以内に何らかの決着がつく。
 問題なのはバラモスを倒せた後のことだ。十六歳が成人とはいえ、十代や二十代そこそこの人間が簡単に国をまとめられるはずはない。ましてや国政に携わったことのないティアラには土台無理な話だ。イシスのイシュタルは国を継ぐ立場の人間として、幼い時からすべてを学んできたからこそ今がある。ティアラもまずは勉強するところから始めなければならいないが、それでは国が成り立たない。
 一番手っ取り早いのは他国の王家から婿を迎えることだろう。国を追われたティアラと違って、彼らはしっかり学んでいるはずだ。すぐにでも国をまとめられる人間を迎えて王座につかせることで、より早く国を安定させる事ができる。立場で考えるのであればそれが最良の選択であることくらいは分かる。けれど。


「簡単に割り切れるほど、まだ大人でもないよ……」


 自分を見据えるカンダタの視線から逃れる様に、ティアラは抱えた膝に顔を伏せた。
 だってそうじゃないか。ずっと幼い頃から、ユウとの約束だけを支えにティアラは生きてきた。やっとの思いで再会して、こうして傍にいられるようになったのに、それを平和になったからはい、さようならだなんて。


「だから、今のうちに割り切ればいいって」

「そんな簡単に言わないで! 私が、どんなに……っ」


 軽い口調で他人事のように切り捨てられ、ティアラが勢いよく伏せていた顔を上げ声を荒げようとして。上げた顔のすぐ目の前に伸ばされた彼の手に、その勢いがそがれる。
 ティアラがひるんで息をのんでいる間に、伸びてきたカンダタの手は彼女の後頭部に回されて、そのまま彼の胸元まで引き寄せられた。頬に軽い衝撃を覚え、すぐにじんわりと身体全体に温かさを感じて思わず強張った。


「な、に……」

「俺にしとけ」

「……暑さで頭沸いてる?」


 喉の奥からどうにか絞り出したティアラの頭上で、カンダタが優しく囁く。まるで女性を口説く様な仕草と文句に、強張っていたティアラが脱力して引き寄せられている胸元を軽く押したが、意外にも彼の手が緩むことはなかった。
 訝しく思って顔を上げようとしたが、やはり頭部に回された手が邪魔をして彼の表情を伺うことができない。


「冗談じゃなくてさ」

「ちょっと待ってよ。だってあなたは……」


 緩まない手の力に冗談ではないということは薄々伝わってはいるが、カンダタはそもそもサマンオサ王家の王位継承者だ。しかも長子なので一番にその権利がある。カンダタを選ぶと言うことは、ティアラがサマンオサに入るということになるだろう。ティアラに必要なのはネクロゴンド王家に入ってくれる人間であって、サマンオサに嫁ぐという話は論外だ。


「俺は自分の国を継ぐつもりはない」

「え……」

「その話はまぁ……追々、な。でも国を継がないのなら、ありだろう?」

「そ、れは」


 ありかなしかといえば、もちろんありな話だ。それこそカンダタは自分の国で、国を治めるのに必要な事は全て学んでいる。もっと言えばこうして一緒にいる時間が長くなれば、ティアラのこともよく理解してくれる人間の一人になっていくだろう。見も知らない他国の人間を迎えるよりも、よっぽどマシと言うものではあるのだろうが。


「それは、どういう意図?」

「純粋な好意を、何か企んでるみたいに取られんのは心外だなぁ」

「普段の行動の所為でしょ」


 軽口に変わったカンダタにティアラは短く嘆息して、もう一度彼の胸を軽く押し返した。今度はあっさり手が外れて解放されたので、ようやくそこでカンダタの表情を確認するために顔を上げることができた。
 間近で見上げた彼の顔はとても端正だった。金糸を束ねた様な艶のある髪、ユウの透き通るような蒼さとは違った深い藍色の瞳、寂しそうな笑みを浮かべる口元、その輪郭。身体つきもその声色も、同年代のユウとはまるっきり違う。カンダタは確かに大人の男性なのだ。
 そう感じたとたんに、身を寄せ合っているのが急に恥ずかしくなった。頬が熱くなるのを感じて、思わず片手でその表情を隠そうとして、カンダタの手がそれを阻んだ。手首を掴まれて顔を寄せられ、彼から離れようと身体を引いてはみたが、掴まれた腕はびくともしない。せめてその視線から逃れる様に、必死で顔を反らしてはみたが、反らした顔の耳元でカンダタがなおも囁いてきた。


「何か意図があったとしても、俺にとってもお前にとっても悪い選択肢じゃないだろ?」

「わ、たし……は」


 囁かれる内容は、普通の女の子であれば決してときめく様な内容ではないだろう。ましてや女性を口説く様な文句でもないし、あくまでも立場を考えたらという前提での政略的な選択でしかない。問題なのは、彼の仕草だ。
 幼少期をほとんど軟禁状態で過ごし、それ以外は神殿からほとんど出ることなく生活してきたティアラの周りには、一般的な男性などほぼいないに等しかった。だからこんな間近で男性に、内容はともかく、甘美に囁かれるなどという経験はない。
 意志が弱い方だとは思わないが、心が弱っている時にそんな風にされたら揺らぎそうになる。それでもいいのかもしれないと、思いたくなってしまいそうで。


「……悪かった。ちょっといじめ過ぎた」


 ふいにカンダタが寄せていた顔と掴んでいたティアラの手首をはなした。きょとんとした少女に、カンダタが苦笑しながら肩をすくめる。


「冗談だったの?」

「いや、冗談じゃないさ。悪いと思ったのは、そんな簡単に割り切れないって分かってて話を振ったことだよ」


 ティアラは馬鹿にされたのかと思ってムッと眉間に皺を寄せてハスを尖らせたが、カンダタはなんでもないようにあっさりとそれを否定しながら少し意地悪そうに笑った。
 馬鹿にされたわけではなくとも、試されたことに違いはなく、ますます表情を険しくすると、美人が台無しだぞとカンダタが眉間に寄った皺を少女の頭ごと指先で押し込んできた。
 その勢いで少し後ろにのめり、彼の指先が離れた眉間を不満そうに撫でつける少女を小さく笑いながら見つめ、すぐにでも、と緩んだ表情を引き締める。


「それも選択肢の一つだって、覚えといても損じゃないんじゃないか? いつかは選ばなきゃならない道なら、選択肢は多い方がいい。気持ちだって、選ばなきゃならない時が来れば嫌でも追い付いてくるさ」

「……うん……そうだね」


 ティアラが小さく頷いた頭を、カンダタが小さく叩く。視線だけ上げた先で、彼は優しく笑っていた。大人の余裕というのは、こういうのを言うのかもしれない。年齢に大差ないリベルティーナ一人にひっかきまわされてる自分たちの、なんと子供な事か。
 こうして大人組と自分たちを比べてみると、何故か急に気持ちが冷めて客観的に自分を見ることができた。今までは目の前のことに精一杯でちっとも冷静ではなかったのだと分かる。
 どこかで見かけた本に、恋は盲目だなんて言葉を見かけたことがあったが、あながち間違いではないのかもしれない。
 なんだか可笑しくなって小さく肩を揺らして笑うティアラを、カンダタが不思議そうに首をかしげて眺める。


「ごめん、ありがとう。なんか冷静になれた気がする」

「うーん……別に背中を押そうと思ったわけじゃないんだけどな~」

「でも違うってわけでもないよね」


 暫く抱えた膝に顔を伏せてクツクツと笑い、顔を膝に乗せたままカンダタに視線だけ向けてティアラが笑った。
 おどけた仕草で肩をすくめていたカンダタは唇で弧を描くだけの留めていたが、なんだかんだ言いながら面倒見はいいのだ。
 彼の提案はもちろん冗談ではないのだろう。でもそれ以上に、ティアラやユウのことを案じてくれている人間の一人でもあるのだ。


「ティアラ! こんなとこにいたの!?」

「セリア? どうしたの?」


 お互い顔を見合わせて笑っていると、突然背後から聞き慣れた大声が響いた。きょとんとして振り返ったそこには、案の定セリアが立っていたが、何故が酷く動揺しているようだった。
 セリアは訝しそうに顔をしかめるティアラに近づくと、早く! と少女の腕を小さく引いた。


「いいからとにかく来て! サリが……!」


 彼女の口から出てきた名前にティアラとカンダタは再び顔を見合わせ頷きあうと、立ち上がってセリアとともにキャンプに向かって駆けだした。



20170809 初稿
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